2024年5月9日木曜日

BraveBringer公開1周年振り返り企画Part.2(全3回):本作の原案……の更に原案、そして作者のゲーム制作活動遍歴

 本記事は前回の「BraveBringer公開1周年振り返り企画Part.1(全3回):BraveBringerの開発経緯」の続きとなります。
その前提で記載されていますので、まずは先にそちらをお読みください。

前記事の冒頭にも記載しましたが、基本的には作者の自分語りと与太話が中心になりますので、時間の有り余ったお暇な方だけお付き合いいただければと思います。
また本企画はBraveBringerのネタバレを含みますので、気になる方は本編クリア後に読んでいただければと思います。

今回は第2回として『本作の原案……の更に原案、そして作者のゲーム制作活動遍歴』をテーマにすすめていきます。


前回書いたように、BraveBringerは似たようなタイトル・キャラで作り始めては途中で頓挫……を何度も繰り返して、10回以上エターナった末に完成したものとなります。
今回はそもそもオリジナルRPGを作ろうと思い至った原点について語っていきます。

ゲームに限らず創作活動において、いきなりきっかけゼロからゲームを作るぞ!という人はなかなかいないと思います。何らかの作品に触れる中で強い感銘を受けたり、自分も何かを作りたいと感じたりしてそこから創作活動を行う、というのが多いのではないでしょうか。
自分の場合、初めて触ったゲームは当時親が持っていたスーパーファミコンの「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」であり、初めてやったRPGが「ファイナルファンタジー5」でした。それらの作品をご存じの方であればもしかしたら、BraveBringerの中にそういった要素をなんとなく感じられたかもしれません。(一部、よく知らなくても分かる程露骨にオマージュしているものもありますが)

ゲームを「遊ぶ」のではなく「作る」というところに至った原点としては、子供の頃にゲームのオリジナルステージ等をノートの切れ端やチラシの裏に描いたことでした。はじめは、ドンキーコングのオリジナルステージや、ゼルダのオリジナルダンジョンなんかを暇なときに考えたり描いたりしていました。そこから派生して、主人公が既存キャラクターではない、自身のオリジナルキャラクターを主役としたゲームのマップやイラストを描くようになりました。その主人公こそがBraveBringerの主人公ユリウスの前身であり、そしてこのゲームのラストボスとして登場した主人公の影から生まれた魔物が同作キャラであるクラッドの前身でした。

それに続いて、描くようになったのがFF5に触発されたオリジナルRPGです。
ある意味BraveBringerの原点の原点ともいえる『EightHeroes』と銘打たれたそれは前作主人公とラスボスの2名に加え、総勢8名のキャラクターが仲間として登場する予定でした。8名の中には2人以外にも一部の要素がBraveBringerに引き継がれたキャラが何名かいたりもします。とはいえ当時の自分に長編を丸々すべて考えることなどできるはずもなく、EightHeroesは序盤といくつかの主要イベント以外は何も考えられず中途半端な状態で終わってしまうわけなのですが……。
以下に、登場予定だった8名のデータを覚えている限り記載しますが、なんとなく今につながるキャラクターが何人か見えてくるかと思います。

未完で終わってしまった理由の一つとして、成長につれて『そもそも個人の規模でゲーム制作などできるはずもない』ということに気づいてしまったのもありました。しかし家にPCが置かれネットに触れるようになったところで、自分でカスタマイズできるゲームの存在を知ります。それがRPGツクール……ではなくJavaScriptで作られたブラウザゲーム『スーパー正男』を元とした『まさおコンストラクション』(以下、正男)でした。その名前の通り、某配管工アクションをオマージュした横スクロールアクションゲームなのですが、メモ帳でHTMLを書き換えるだけで簡単にステージをカスタマイズでき、画像を差し替えればオリジナルの主人公や敵を作って登場させることもできました。当時はネット上にいくつも正男を取り扱うサイトが作られ、専門のコミュニティサイトも存在するなどかなりの勢いがあったと記憶しています。
そして、正男用に当時作成したユリウスの前身である主人公のスプライトがこちらです。

……これはひどい。
まあ、その後は本来の主人公である正男などをベースに作り直されて徐々にマシにはなっていきましたが。

余談ですが、まさおコンストラクションは現在も一部有志の手により新規ステージの制作や、機能拡張版の開発が続けられていたりします。


正男ベースの開発を進める中、一部の正男作者の中に外伝作としてRPGを制作する人がちらほら現れ始めました。そこで自分はRPGツクールというものの存在を知ることになります。それに触発され、最初に購入したのはRPGツクール2003でした。既にXPなど新しいバージョンがとっくに発売されていた頃ではありましたが、FF5からRPGを知った自身にとってサイドビュー戦闘とATBシステムを備える2003は非常に魅力的に映りました。

そして最初に作られたのが「SuperMasaoRPG」と題したRPGでしたが、完成こそしたもののタイトルの割に「スーパー正男」の要素は薄く、そのゲーム性やバランスは当時の自分から見ても酷いものでした。挙げ句極端に短いラストダンジョンでは作者自身が2度も登場し、雑に最強装備を投げ渡し、雑にステータスを上げた上でラスボス戦へと放り込む支離滅裂ぶり。結局処女作は完結こそしたものの完成版は公開されることなく、作者PCHDDに黒歴史として残されるのでした。
(実はネットの海のどこかに当時公開した体験版が今も漂っていたりしますが……考えないことにします。)


ただ、そこから制作活動はアクションよりもRPGに寄っていきました。SuperMasaoRPGの続編として作られたユリウスの前身とレイをW主人公としたオリジナル作品を皮切りに、正男ベースで作成していた作品群とは別の路線として彼ら自身のオリジナル作品を作るようになります。

その次に作成に着手したのが主人公、クラッドの前身、レイの3人を主軸にしたRPG、「ThreeKnightsAdventure」でした。オリジナルキャラだけで独立した世界観である、という意味でこの作品もまた現在のBraveBringerの原点とも言えるかもしれません。まあ当然これもまたエターナるわけで、ここからBraveBringerの完成に至るまでに10回以上に渡る制作とエターナルの繰り返しに突入していくのですが。

そんなエターナル期の末期に、味方や主要人物の歩行・戦闘グラフィックをすべて自作して力を入れていた「BraveBlade」の制作が行き詰まり、そしてRPGツクール2003のエラーによるデータの破損が重なったことをきっかけに、これをベースとして第1回で触れた「シナリオを先に完成させてから作る」の形式での制作を行い、確実に完成させる事を決意しました。
よってしばらくはマップ・イベントの制作からは手を引きシナリオやデータベースの作成にのみ専念することになります。その結果、長い時間を経てようやくBraveBringerが完成することとなるのでした。

ここまでの過程の中でそれぞれのキャラクターが現在の立ち位置に至るまでにどのような変遷をたどったのかについては、次回キャラクターごとの振り返りで触れていくこととします。


……ついでのようになって申し訳ないのですが、実は2023年のBraveBringer本編に先駆けて、とある登場キャラクターが他作者様の作品に登場していたりします。

その作品というのが、夢幻台 様(@div332)が2021年に公開された「ツクールメモリア」です。

ツクールフォーラムで開催された「第3回オリキャラコンテスト」をきっかけとして作成された作品であり、BraveBringer本編第4章で登場したサブキャラクターであるグツコー元将軍がプレイアブルキャラクターとして参戦しています。

……はたしてBraveBringerをプレイした人のうち何割が、彼の存在を覚えているかはわかりませんが。

ともかく「ツクールメモリア」はオリキャラコンテストの参加キャラクターをはじめとして様々な作者様が生み出した多数のキャラが登場するボリュームたっぷりで魅力的なクロスオーバー作品となっていますので、ぜひプレイしてみてください。

 

といったところで今回はここまで。

次回はBraveBringerで立ち絵のあるメインキャラ10名の変遷について書いていきます。

それでは。

2024年5月2日木曜日

BraveBringer公開1周年振り返り企画Part.1(全3回):BraveBringerの開発経緯

 早いもので、本日でBraveBringer公開からはや1年が経過しました。
それを記念して……というほどの事ではないのですが、先日Twitter(現X)でフリーゲーム・同人作品の制作記録や編集後記に関する話題を見かけたこともあり、需要があるかどうかは分かりませんが、今回より3回に渡ってその制作経緯や裏話などをテーマごとに残していこうかと思います。

 基本的には作者の自分語りと与太話が中心になりますので、時間の有り余ったお暇な方だけお付き合いいただければと思います。また、今回はそこまで多くありませんが、本企画はBraveBringerのネタバレを含みますので、気になる方は本編クリア後に読んでいただければと思います。

今回は第1回としてシンプルに『BraveBringerの開発経緯』をテーマにすすめていきます。


 BraveBringerはこれまで似たようなタイトル・キャラで作り始めては途中で頓挫、を何度も繰り返していた作品で、その回数はおそらく10回以上に登っていたかと思います。
その中で学んだことは「展開を作りながら考えない」「完成させる前からその続編や外伝作には手を付けない」「要素を詰め込みすぎない」ということでした。
また、傾向として終盤になるほどマップ構成が雑になるというのも自分の弱点として経験則でわかっていました。

 そこで「ゲームを完成させる」という大きなゴールにいきなり向かうのではなく「シナリオを完成させる」「データベース・マップを完成させる」「イベントを設定する」の3段階に分けて、それぞれを小ゴールとして1段階ずつ順番に作っていくこととしました。
 まずは、頭から終わりまで一旦プロットだけでなくセリフやイベント内容を含めたシナリオを先行して完成させました。……とはいえ、それだけでも途中放置の期間(これが大半)を含めて2018年頃から2021年とかなりの期間を要することになってしまったわけですが。
実際には事前作成したシナリオから変更された内容や設定もありますし、これが最適解だとは到底思っていませんが結果的に完成にこぎつけられた点は、よかったのかなと。
ただ、時間がかかりすぎるうえに弊害も色々と多かったので、プロットだけでなくセリフ内容まで含めて事前に作成する形式での制作は多分二度とやらないと思います。

 なんとかシナリオは完成、マップやデータベースも概ね完成してそろそろ一番面倒で時間のかかる「イベントの作成」の段階に差し掛かったところで、「ここまで来たなら絶対にこれをエターナらせてはならない(※)」と考えました。そのため”ゲームの完成度を上げる”とともに”自身の退路を断つ”ために、SKIMAというサイトを利用して「自キャラの立ち絵を有償依頼して作成してもらう」ことにしました。
いくつかのコミッションプランを確認し、1枚あたりの価格、表情差分の扱い、イラストの画風等様々な要素を吟味して、今回1657さん(@1657san)というイラストレーターさんに依頼することにしました。
ゲーム用の立ち絵を作るのは初めて、というところに10名分のキャラクターイラスト+敵グラフィック+イベントスチル……といきなり大量のリクエストをぶつけることになってしまいましたが、快く対応頂いた1657さんにはこの場を借りて改めて感謝いたします。

 今思えば「失敗すればお金が無駄になり、イラストレーターさんをも悲しませてしまう」という、ともすれば自身をも追い込んでしまいかねないやり方でしたが「自分の生み出したキャラクターに唯一無二のビジュアルがつく」ことは思った以上に制作モチベーションに寄与し、キャラクターたちにより強く愛着を持つことにも繋がりました。結果として最後まで完成に至りましたので、今回に限っては成功であったと思います。

(※注:”エターナる”とは、ツクールユーザーの間で作品が完結しないまま、制作が止まってしまうことを指します。)


 自身の弱点とこれまでの反省点を生かした強攻策とイラストパワーによるモチベーション向上により無事、完成間近となったタイミングで「タイトルロゴ」をどうするかという点に思い至りました。
というのも10年前に「キラーナイツ」作成でも完成時同様の問題にぶち当たり、急遽Officeのワードアートでクソダサカラフルロゴを作成して公開するハメになったからです。
キャラ立ち絵依頼により財布の紐が緩んだというのもありますが、せっかくオリジナルの立ち絵を書いてもらえたのだからどうせならこちらも、と依頼を出すことにしました。
前述のSKIMAにはクリエイターに依頼する以外にも、条件と金額を指定してクリエイターを募集する「リクエスト」という機能があったので今回はそちらを使ってみることにしました。
その結果想像していた10倍くらいの立候補者が集まってしまい、断るのを申し訳なく思いながらもその中からコメントやポートフォリオ等を見て吟味し悩んだ末に、眩目くるめさん(@monokurupict)という方にお願いすることにしました。
結果、こちらの意図や細かいデザイン等を汲んで頂き現在タイトル画面に掲載しているロゴを作っていただきました。
もともとVXAce以降のツクールにはタイトルに自動でゲームタイトルを入れてくれる機能があるのですが、ちゃんとしたロゴが入るとタイトル画面やエンドロールもゲームらしい雰囲気が出るため、こちらもやはり依頼してよかったと感じました。
改めまして、眩目くるめさんにもこの場で感謝させていただきます。

 すべて完成しテストプレイが一通り終わったのが2022年終盤であり、もともと年内に公開予定だったのですが、ここで自分の悪い癖が出て「キャラ同士の会話シーンを入れよう」という突然の思いつきで『宿屋会話』の要素を追加することになりました。
これは制作時に発案はしていたもののボツにした内容だったのですが、思い至ってしまったのが運の尽き。制作とテストプレイは更に伸びることになり、公開日時は年内予定から年度内、4月中……とどんどん伸びていき、最終的にはゴールデンウィークの2023年5月初頭に公開する運びとなりました。
度重なるテストプレイでバグや誤字脱字は修正したはずだったのですが『慣れ』というのは怖いもので、発表から1ヶ月は見落としていたバグやうっかりミスの修正対応に追われていました。

 一方で3桁行けばいいなぁ……程度に思っていたプレイ数は想定以上に大きく伸び、多数の感想コメントとバグ報告いただきました。遊んでいただいた方、そしてバグ報告いただいた方への感謝の言葉をもって改めて本企画のPart1の締めとさせていただきます。

自分の作品に向き合っていただき、本当にありがとうございました。


 2回目がいつになるかは未定ですが、次回はより自分語りに特化した「BraveBringerの原案……の更に原案、そして作者のゲーム制作活動遍歴」についてとなります。
無駄にしていい時間が有り余っている方がいれば、引き続きお付き合いください。

BraveBringer公開1周年振り返り企画Part.2(全3回):本作の原案……の更に原案、そして作者のゲーム制作活動遍歴

 本記事は前回の「 BraveBringer公開1周年振り返り企画Part.1(全3回):BraveBringerの開発経緯 」の続きとなります。 その前提で記載されていますので、まずは先にそちらをお読みください。 前記事の冒頭にも記載しましたが、基本的には作者の自分語りと与太話...